FEATURE*


YACHT RACE

クルマメーカーが
ヨットに興味を示す理由とは!?


日本にいるとピンとこないが、ヨーロッパではヨットレースの人気は高い。そんな中、名だたる高級車メーカーが、このところ積極的にヨットの世界に関わっている。そこには意外な理由があった。


クルマメーカーとヨットやクルーザーとの関係をご存知だろうか。実は、両者の関係は面白いほど多面的に繋がっている。

たとえばデザイン。このところのプレミアムブランドでは「クルーザーのデザインからインスパイアされました」、なんてプレゼンも少なくない。言われてみればキャビンを後方に配したクルーザーはFRスポーツカーのようにも見えるし、ピラーを黒く塗り潰した手法は高級サルーンのトレンドにもなっている。空力を含めカーデザイナーはクルーザーあたりを横目で眺めているようだ。

素材もそう。下の写真のようなレーシングヨットのボディはすべてカーボンファイバー。軽量かつエアロダイナミクスが優れていることから、エフィシェンシー(高効率)の面で使用されている。つまり、レーシングカーやスーパーカーと同じ。そのことから〈ビー・エム・ダブリュー〉などは、ボードビルダーに技術提供をし、カーボンの優位性を世にアピールしているそうだ。

マーケティングの視点では、高級車オーナーの趣味嗜好という点で繋がっている。欧州の富裕層のライフスタイルをイメージすればおわかりいただけるだろう。ヨットレースのスポンサーをし、週末、地中海沿いのマリーナに出向くアシとして「当社のクルマをどうぞ!」ってことだ。

というように、両者の関係は実に多面的に繋がっている。陸と海、走るフィールドは違っても乗り物という面では同じ。ヨットやクルーザーを見れば高級車のトレンドがわかるかも!? ですね。




MASERATI

[マセラティ]

著名な冒険家をサポートすることで
“挑戦”するブランドイメージに。


〈マセラティ〉がスポンサーしているのはチームではなく人物。イタリア人の世界的ヨットレーサー兼冒険家のジョバンニ・ソルディーニだ。今年はトリマラン(三胴船)の“マセラティマルチ70号”で、このクラスのヨットでは前人未到の長距離ルート、香港─ロンドン間2万4000kmノンストップセイリングを3月に達成し新記録を樹立。単なる高級車でなくチャレンジ精神をアピールした。






VOLVO

[ボルボ]

自らヨットレースをオーガナイズし
タフでワイルドなイメージを構築。


〈ボルボ〉といえば“ボルボオーシャンレース”。ほぼ11カ月かけて地球を一周するタフな外洋レースだ。たまにオーシャンレース・エディションとして限定車を販売しているのでご存知の方も多いのでは? 〈ボルボ〉はそれに参加したりスポンサーしているわけではない。彼らは主催として専門の組織を作り運営している。そのためヨーロッパの〈ボルボ〉のイメージは、タフでワイルドだ。






BMW

[ビー・エム・ダブリュー]

アメリカズカップをメインに
ヨットとの様々な関係を強化。


アメリカズカップでは〈ビー・エム・ダブリュー〉の名が挙がる。かつて“BMWオラクル”チームが印象的だったが、昨年も“オラクルチームUSA”にしっかりスポンサーしている。それだけではない。筆者は先日もスペインの国際試乗会でカタマランのレーシングヨットに乗せてもらったが、それも〈ビー・エム・ダブリュー〉がカーボンの技術提供したもの。技術面での繋がりも強いようだ。






LAND ROVER

[ランドローバー]

4WD専業クルマメーカーのタフな
イメージ作りにヨットレースも貢献!?


〈ランドローバー〉もまた、アメリカズカップに参戦するチームをスポンサーしていた。昨年日本でも開催されたワールドシリーズで戦っていた“ランドローバーBAR”チームがそれ。もちろん、アメリカズカップと〈ランドローバー〉のイメージはぴったりで、どちらも冒険やチャレンジというワードで括ることができる。英国人のアメリカズカップに対する思い入れも相当強いらしい。


文=九島辰也

2018-05-31